元々は「アイドルが謂れのないスキャンダルで社会全体から叩かれる」という話を考えていたのですが、思いついたストーリーだと四十話くらいになりそうで、さすがに無理だってんで作ったのがこのお話です。
本編にもあるように元ネタは「トゥルーマン・ショー」ですね。
子供の頃に「自分以外の人間が共謀して自分を騙しているかもしれない」という妄想は割と抱くものだと思うのですが、「トゥルーマン・ショー」はとてもよく出来た映画だったと思います。
だけど自分はラストがダメだったんです。
外の世界への脱出しようと必死に足掻くトゥルーマンを見て、義憤に駆られた視聴者達が一斉にテレビの前で応援し始めます。
そうして無事脱出、感動のラスト……って、いや待て待て待て!
お前ら今まで散々人の人生を弄んでたやん?
反省はないんかい!
ついでに言うと視聴者の応援は微塵もトゥルーマンの役に立ってない……つまりはただの自己満足。
その場の感情に支配される民意ってのは個々に悪意が無い上に自分のことを正義だと信じて疑わないので始末に悪い……という恐怖を意図せずに示唆した映画だったとは穿った見方でしょうか。
翻ってみると今日、同じ構図の出来事だらけです。
世の中がその場の感情に支配されているとまではいいませんが、SNSは感情増幅器の役目を果たし、多くの人は自分が事件の引き金を引いた当事者だと気付きもしないという、とても無責任な世の中です。
愛菜が真相を明かすのに一年を空けたのは彼女なりの復讐ですね。
「皆さ〜ん、お久しぶり〜」とか言いながら、ふさぎかかった視聴者の傷口に塩を塗り込んでいるんですよ、あれ。割とライトな描写ですけど普通なら配信なんかしません。
というわけで、このお話はバッドエンドなんです。わざわざ、あんみんと様に「おわり」の読み方を暗〜くしてもらってるでしょ?
この話、割と込み入ったプロットです。何せサスペンス仕立てですし、表の進行とは別に「裏ではこうなってます」的な展開もあるわけで話がややこしいんです。この面倒な話を香久乃様がしっかり脚本に仕上げて下さいました。セリフの運び方が秀逸なんですよね。物語を進行させながら視聴者を騙さなくちゃいけないんで、愛菜を泳がせつつここは瑠奈がバッサリ……みたいなテンポが流石だなぁーと。
ちなみに百合的な要素は裏設定を隠すブラフで入れていたわけですが、美波様の絵が尊くて最後の方はガッツリでしたね♡(何がだ?
十話のタワマンの三人の衣装とか、おいおいおいおい(・_・
(了)