前回(愛菜物語)がガチガチのプロットだったんで、このお話は設定だけを提示して、脚本をお願いしました。ですので、ストーリーは香久乃様のオリジナルです。
そういうわけで今回は設定についてのお話をちょこっとしてみます。
愛菜物語が割と暗めのお話だったので、今回は明るめの学園モノにしようと考えまして、「お色気学園ラブコメディ」路線としました。
基本的な構成は会話劇(掛け合い)です……途中で変わりましたけど。
元々このお話は一話完結のシリーズものでした。
「続く」で終わる連続モノというのは視聴数が伸びなかった時のダメージが大きいんです。だから避けたんです。でも、キャラに愛着が湧いちゃうとドラマを動かしたくなるんですよねぇ……なので途中からストーリーものにして頂きました。
自分の悪いクセです(w
ヒロインは由緒正しい家柄かつ超資産家のお嬢様にしました。
勝気な性格で正義感が強く、誇り高い生き方をしています。設定だけならテンプレ的なヒロインです。
主人公(というか相手役)は、小太り低身長で性格は卑屈というヒロインとは真逆です。ただし自己主張がハッキリしています。世間にまるで迎合していないので、クズ扱いされても何とも思いません。ハートが強いんです。
この二人には裏設定があります。
ざっくりと奈良時代あたりを想像してください。
貴音の先祖は神祇官の最高位である神祇伯を務めた官僚でした。
一方の小津は陰陽師。安倍晴明とか聞いたことあると思うのですが、そんな陰陽師は神祇官の部下(下っ端)です。
神祇官というのは祭祀を司る官庁で、祈祷や占いを行い、全国の神格を統括しておりました。つまりオカルト担当。
あの辺りの時代の祭祀は政治に匹敵する活動なので官庁としては、時に実務を司る太政官よりも上で事実上のトップ官庁。
しかし、このような大層な官庁でありながら神祇伯の位は意外に低く従四位下。官庁としての位はトップでも、役人の位は並。
陰陽師は神祇官の役人で官職の一つです。
歴や易学の研究をしながら、指示があれば祈祷を行ったりする実務官です。
時代によっては学者だったり科学者的な役割も果たしたりしますが、いずれも一介の役人に過ぎません。星を見て暦を作ったり、漢書を訳したり、上からの命令で地方へ占いや祈祷に行かされたり、と、今でいう社畜?(違)
実務に聡くないと務まらないので民間からの登用も普通にありました。だから高い位は与えられません。
というわけで、貴音と小津の御先祖様は上司と部下の関係だったんですね。
貴音は上昇志向が強く、本気で総理大臣になるつもりです(日本初の女性宰相を目指しているという設定です)
その上昇志向は、ご先祖様のコンプレックスからきているんですね。そんな彼女の唯一の弱点は怪異です。貴音はご先祖様が祓ってきた怪異の恨みを一身に背負っています。だからうんざりするくらい彼女の日常は怪異で溢れている。
怪異から襲われることさえ無ければ自分は完璧だと自負しており、一方でそれで足元をすくわれかねないとも危惧しています。
何とかお札で対処していますが、それではとても心許ない。そんな矢先に現れたのが小津優です。彼を自分のボディガードにすることができれば、彼女は完璧になれると考えているのです。
一方の小津はコンプレックスの塊で卑屈になりすぎた故に打たれ強くなりました。彼が考えていることはひたすら自分のことです。他のことはどうでもよく、ただ自分の欲求が満たされれば良いという刹那的な生き方をしています。友情だとか愛情はフィクションの産物であって実在しない……少なくとも自分には無縁のものだと考えています。なので、最初は貴音のこともゲームキャラ程度にしか考えていません。つまり彼女もフィクション扱い。そんな彼も少しづつ考え方を改めるようになります。
ついでに許嫁を自認する神堂君の御先祖様は政(まつりごと)を司る太政官の長官(かみ)というのが裏設定です。
太政官とは神祇官と対を張る国政の最高機関です。その長官の位は正一位、官職の最上位です。何せ政治のトップにいるので知略謀略に長けてます。国を表から裏から動かす権力者。
神堂もそういう資質を持ち合わせています。
活躍させる前に話が終わりましたけど(涙)
というような、設定・裏設定なのですが、冒頭にもお話したようにストーリーは香久乃様のオリジナルです。ざっくりとした設定しかお伝えしなかったのですが、そこは読解力に優れた方。キャラの特徴を踏まえて、とても上手く作って頂いたなぁと感謝しております。
声優様はこのチャンネル、お馴染みのあんみんと様です。
今回はオケに合わせて歌ってくれという無茶振りにも対応して頂きました。
ロリコン🎵アリコン🎵ハーイコン(ハイハイ🎵)
作画の美波様は引き出しが多い作家様で、毎回話の内容に合わせて色んな要素を加えてくださるのですが、今回は怪異のデザインが素晴らしかったですね。特に最後の佳華の描き方がエグくてナイスでした。
以上、怪異とお嬢様の設定についてのお話でした。
今日もあの二人は仲良くケンカしていることでしょう。
(了)